現在における検出器は、多種多様な物が世の中に出回っており、用途に応じてユーザーが選べる時代になっていますが、ひと昔前はユーザーからの要望で特注の検出装置を作ることも少なくありませんでした。
その頃、2種類の似通ったシート状の色紙が送られてくる印刷機で、今送られてきた紙がどちらの紙かを判別する装置の製作を依頼されたことがあります。
当時はまだCPU処理主流の時代ではなかったため、検出(判別)方式はすべてハード回路で構成して装置を組みました。とはいえ、他の印刷工場においては、他社製でCPUを使用して処理した検出器 もあったようです。(当時としては大掛かりで高価な装置でした)しかしCPUを駆使した検出器でも誤判別して検出が難航したと聞いています。
通常の検出部方式は、ターゲットに光をあて反射してきた光量を調べる方法で光源はLED、レーザー等を使用し、受光部はフォトダイオード、フォトトランジスタ等の受光素子を使用して判別します。この方式だと、送られてくる紙を検出するため検出部分をスポットにすると、紙の多少のバタツキのために信号が変動し、安定した信号をとることが難航しました。
そこで当時組み込んだ装置は、小さな蛍光管を使用して面積で捕らえ、信号を平均化することで変動を抑えた方式をとりました。
しかし、ただの反射光レベル検出では温度変動等の影響で不安定な動作が続きました。
そこで、検出方式としてRGB信号を捕らえ、その中で輝度信号をハード処理し、その輝度信号とRGB信号を比較、組み合わせ回路を構成することで環境の影響を大幅に押さえて安定動作したことがあります。この場合は入り口であるアナログ信号が安定処理できれば、あとはハード回路で判別してもCPUで判別しても変わりは無く、簡単なハード処理で成功した事例です。
現在の回路はCPU回路が当たり前の時代ではあるが、いつの世も、その処理をする安定したアナログ信号が不可欠です。
当時はこの印刷機において、他社も含めなかなか安定検出しない中、シンプルな回路構成で安定動作したため、なぜ安定動作するのかをユーザーに説明会を求められ、ユーザーに感謝されたこともありました。
現在もいろいろな物を対象とした検出装置を製作しています。
今後も昔からの経験を活かし、アナログ回路とCPUによる処理技術の進化によりより多彩な安定した検出器を発展させていきます。