理研オプテック

安全コラム

安全意識は変えられる

わたしが入社して数年経った頃の話です。
ある日、会社に検出装置の修理依頼の電話が入りました。それは都内にある、いわゆる町工場からの電話でした。
「プレスが動かないから早く来てくれ」と社長。
「わかりました。すぐにお伺いします」と返事をし、修理に向かいました。
故障した検出装置は持ち帰らないと修理ができない状態だったので、代替の貸出機と交換をしてプレス機は正常に動くようになりました。
一安心したわたしは何か営業ができないか確認するために周りのプレス機を見回しました。ほとんどのプレス機は動作していましたが、安全装置が全て使用されていない状態でした。わたしは社長に言いました。
「社長、安全装置をちゃんと使用してください。危ないですよ」
「大丈夫だよ。安全装置なんて邪魔なだけだよ」と社長。
よく見ると社長の手にはケガをした痕がありました。
「本当にダメですよ。安全装置は使ってくださいね」とわたしは言いましたが、社長は後ろを向いて手を横に振っていました。

数年が経った頃、その社長から安全装置の修理依頼の電話が入りました。
(安全装置を使うようにしてくれたんだな。なんか嬉しいな)
と思いながら修理に向かいました。
なんと“邪魔なだけ”と言われた安全装置が全てのプレス機に使用されていました。わたしの助言で社長が考え直してくれたのだなと思い気分よく社長に話しかけました。
「社長、安全装置を使ってくれているのですね。有難う御座います」

———社長は少し渋い表情で理由を話してくれました。

「実は俺には孫がいるんだが、ある日突然“おじいちゃんとは一緒に歩きたくない”と言い出したんだよ。理由を聞いたら、おじいちゃんの手を友達に見られたくないからイヤなんだってさ。仕事でケガをしたことは勲章だと思っていたが間違っていたとわかったんだ。
だから社員には、俺と同じ思いをさせたくないから安全装置を使うことにしたよ」
仕事中なのにわたしは少しジーンとしてしまいました。

 

ご自身を含め、従業員、ご家族の方のためにもう一度安全について考え直してみませんか。弊社は全力で対応致します。いろいろなラインナップの安全装置をご用意しております。お気軽にご相談ください。